野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

生命

野口整体の対象は「生命」であると言える。しかし「生命」という言葉は「気」という言葉と同様に曖昧であり、ともに目で見ることも触れることもできない。

それが「生命」あるものかそうでないかを、物理的・化学的に証明できないとしても、それは現に存在し、息づいている。だからそのおおよそその区別はできそうだ。

科学的な対象には馴染まないこの「生命」を、野口晴哉はその思想や技法の対象にし記述している。とりわけその卓越した手指の繊細さと、それによる膨大な「からだ」へのアプローチから得られた知見を遺してくれた。その多くが、われわれにとって未知のものだ。そのことがまず強く私を惹きつける。