野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

「月刊全生」目次散歩(4)

「月刊全生」目次散歩

1965 9月号 通巻第19号

・巻頭言 早期発見

人間は生きている以上いつかは死ぬものである。老いということは体の中に生くる働きより死の要素が多くなって来たことを示すものである。然らば体そのものの中に死に至る変化を現わしていても当然である。その死に至る変化をかかえて生きているのが人間全部の生きているということではないだろうか。然らば癌が出きかけていても、脳溢血になりかけていても、当然の状況といえるのではないだろうか。

それを早く発見して除こうとする努力は判るが、それにおびえ、それを除こうとすることによって反って死に至るを早めるということはないだろうか。

早期発見によって良くなるものと悪くなるものと、果たしてどちらが多いだろう。

いろいろの異常をかかえたまま生きていることの方が自然といえるのではないだろうか。活発に生きんとする者は異常をかかえて、そのまま元気に生くる道を開拓すべきである。

・魂はあるか

・万人はみな個人(大衆はいない、個人とはどういうものか、個性ー意識以前の感受性の方向ー、先ず体に現われる、なぜソワソワしてしまうのか、お乳の出なくなったお嫁さん、無意動作、合う合わないは速度の問題、無意識の動きの癖・感受性の方向に癖がある、体運動の癖・咄嗟の時にハッキリ出る、すぐ喧嘩腰になる奥さん、眠っても眠っても眠い人、観念は感受性を歪める、体に働きかけて癖を直す、人間は自分にあう自家用薬を持っている、体癖でクラスを分ける、努力では矯正できない、何故疲れている人が多いのか、長く眠れば疲れは抜けるか、偏り疲労と体を使った後の後始末、偏り疲労の調整は演奏のあとと寝る前に)

・ドライブ一年生(安藤俊一)

・十年生の批評

・ものもらい始末記(君島多満江)

・深く眠るにはどうしたら良いか

・碧巌ところどころ(達磨の面壁九年)

・整体教育 夏期講習ノート(星野武男) 

・河畔

・潜在意識教育法講座「言葉で人は動かせない」

・体癖修正法講座「胃袋の働きと体癖」

・ある返書

・望河台便り 

 治療術のない治療行為に対する不平が(註:引用者、自分の中に)生じている。・・・七年間口を閉じていた治療術について語ってしまうような気がしてならない。・・・本当の治療術というものが姿を消してしまった今日、私の過去に会得していたものを公開することは無意義では無いと思う。 

 

1965 10月号 通巻第20号

・巻頭言 人間のあり方

愉快に生涯を生き抜く事が全生である。・・自分の愉快を大切にする人は、他人の愉快も大切にして、傷つけない事を心がけよう。之が全生の道だ。・・・

・出産の問題(一)「出産は女を美しくする」(お産をすると太る人、太る痩せるは食物によるのではなく骨盤の開閉による、やせる体操、体は産むことを知っている、安産しにくい体、出産は美容法・分娩後の起き方次第、起きる時期を誤った場合の処置、産褥体操)

・心はどう動くのか

・野口先生の誕生日を祝う(赤堤二郎)

野口「・・・或る人は、一人や二人の為にそんなに汗をかくのは下らんと、もっと大勢の健康のことを考えろと、そう言われるんですが、私にとっては大勢の人のことはどうでもいい。とにかく今まで大衆なんという人や人民なんというそんなものを見たことがない。みな個人個人が人なんです。・・だから自分の知っている人がみんな元気にいてくれれば嬉しい。その一人一人の人がみんな幸せになってくれればいいと思います。だから一人の人のためにどんなに汗をかいても私は惜しいと思わないし、自分の全力をそこへ費やすことにしておりますが、一人を粗末にする人が大衆を語ることは、けしからんことだと私はそう思っております。

だけども私のような大衆を知らないで一人一人しか知らない者は、操法の技術でもこれを大勢の人の為に活かすということが出来ない。・・・私は大勢のためより、自分の知っている人の為に全力を尽くしたい。だから潜在意識教育法講座をやりましても、体癖修正法講座を開きましても、いつでも自分の目の前にいる人の為に全力を尽くして、大勢の為にやるというようには考えておりませんでした。だから非常に、この、何といいますか頭が細かく、視野が狭く出来ております。それでいて、一心不乱にやらないと何にも出来ない。

私のやっていることをご存知の方が、これを大勢のために使って、世の中のために使って、もっと使い方を大きくして広げてくれるというのでしたら、わたくしは本当に嬉しいと思います。そんな訳で、わたくし自身視野が非常に狭いので、・・大局というもの忘れているかも知れません。あるいは、もっと大勢に役立つということを忘れているかも知れません。皆さんで整体協会を作っていただいて、どうしても社会、公共の為に動かなければならないような状況になりましたけれども、それでも私は今、眼の前のことだだけに一生懸命やっている。

しかし自分の視野の狭いこともよく知っていますから、皆さんがよくそういう道をお示し下されば、喜んでそのことを聞くつもりでおります。そして同じ時代のヨーロッパであろうと、南洋であろうと、どこの人でも皆が幸せになれる方法があれば、喜んでそうしたいと思っております。今日誕生日をお祝いいただくことは非常に嬉しいのですが、私のやっていることをもっと広く使える道を皆さんで見つけていただき、本当に今の時代の人の為に役立つならばもっと嬉しいと思うのです。誕生日のお祝いを受けながら、いろんなことを皆さんにお願いするのは妙だと思いますけれども、今日は本当に愉快です。どうも有難うございました。」

 

・潜在意識教育法講座 「理由のない不安」(記録:山根)

・出産の問題(二)「妊娠中の整体指導(健康な子供を産むために)」(妊娠初期は胎児の頭の良い悪いに関係する、妊婦と泌尿器障害、体は育てることを知っている、つわりはなぜ起こるか、腸骨の開閉と腰椎四番、妊娠に関する調律点、異常妊娠の場合、妊娠中期と栄養問題、胎動と胎児への話しかけ、潜在意識教育は意識教育法赤の中より、健康な頭の良い子を産むために、母体と胎児への愉気、出産は自然のもの・「待つ」ということ、出産を手伝う時の心得、腹帯はしないほうがよい、カニババとハシカ)

・ある感応(美代かつ)

・自信の正体(山本清子)

・ウイーンより(属成子)

・ロサンゼルスより(広瀬久和)

・案内 野口晴哉治療術講習会(於:建仁寺

 前月望河台便りの如く、口がすべって治療術を説くかもしれない。そうなった場合の為に一言記しておく。治療術とは何かをすることだと思っている人が多くいるが、しかし何もしないことを治療として活かすところに本当の治療があるのだということを会得しなければ、何かすることは治療術として活かし得ない。治療と称して、身体髪膚を傷つけることばかり行われているが、これらを人間の治療術といえるであろうか。疑いなきを得ない。七年間の沈黙を破って治療術を説く理由である。

・入会者 波多野完治氏ほか

 

 

1965 11月号 通巻第21号

・巻頭言 弱いも強いも体の使い方

・子供の心に話しかける言葉ーかくれている能力を引き出すためにー

(空想の生理作用、無意識の空想、連想の誘導、命令と強制は子供から何を奪うか

魂の話、人間は漠としたものに動かされる、自発性があれば風邪は引かない、利益と競争心を使う教育の結果は?、意志に背く行為・人間の構造、空想を使う教育法、空想の導き方、やれると思うからやれる・思い浮かべたことは力になる、思い浮かべたことを持続させるには、子供の反射的行為、相手の言葉で話しかける、ある夫婦・相手の言葉が判らない、大人しくと子どもの食い違い、我が思うごとくに、頭が悪いと何故決めるのか、計画的に嘘をつく子供、空想を悪い方向に縛るな、よい空想を育てる教育に、褒めることの難しさ、思い浮かべさせる工夫)

・「魂はある、と子供が叫んだ」(浅谷春代)

・誌上整体指導 

朝覚めて腰の痛い人

月経時に痛みのある人

・「巌窟王モンテクリスト伯」を読んで(中一 野口裕介)

・感受性と体癖(註:上記について)

志賀直哉の「盲亀浮木」を読む(星野武男)

・山魚荘雑記(松原四郎)

・鬱散出来ない為に生ずる子供の病気

・碧巖ところどころ(七)「雲門」

・自然ということ

・出産の問題(三)分娩と体癖(分娩が楽なのは本能型、悪阻と体癖、潜在体癖・妊娠中に別個の体癖傾向が現れる、育てる時期はいつか、体量配分の変化を注意せよ、活元運動と体の要求)

操法の技術 正確にずらすということ(高等技術)

・体癖修正法講座「捻れ現象は何故起こるのか」(記録:臼井)

・潜在意識教育法講座「くり返しについて」(記録:山根)