野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

「整体操法高等講座」を読む(24) 婦人の操法(4)

野口晴哉氏の思想や技法を、手元の資料を手掛かりにブログとして記述していくことが、思いのほか難しいことであることを日々実感する毎日です。この困難さを感じる理由は、資料を右から左に書き写すだけでも難しいことなのに、<私なりの要約として記述する>という身に余る作業をまじえたりしているために生じていると思います。つまり、その困難さの感じは、私の認識能力を越えた領域を、判りもしないまま、判ったふりをしなければ先に進めないといった、ためらいの痕跡からくる重苦しさといったものだと言い換えることもできます。まあしかし、このブログの読者の方からの励ましに支えられながら、遅々とした歩みで、野口晴哉ワールドの、せめてその輪郭を描けるようになりたいものだと考えながら、今日も始めてみたいと思います。

 

整体操法高等講座」を読む(24)婦人の操法 (1968.1.25)

前回、婦人における骨盤のを、重要性について説明いたしました。

アイラブユウなどと言って、女がにっこりするから、いつもそうかと思うと、かえってぶすっとしてしまう時がある。どうしてぶすっとしたのかと調べると、骨盤が落っこちているということがある。つまり月経の始まった時である。普段なら怒らないことにまで腹を立てたりする。気が短くなる。それだけでなく、月経は頭で考えている以上にその行動を左右してしまう。その影響は、意外に広範にわたる。食事が不味い、吐き気がする、食欲がない。だから胃が悪いのかと思うと、そうではなくて月経がはじまった事による場合も沢山にある。右側の骨盤の動きの大きい人たちは、月経と食欲が非常に関連が強い。その逆の左の骨盤の動きの大きい人たちは、血行、とりわけ心臓の動きとの

関連が強い。

そのように、女の体を見ていく場合には月経や、月経に関連する骨盤の開閉状態、骨盤の上がり下がりの状態を無視することは出来ないのです。

骨盤が開くということのなかに、<痔>という問題がある。男にもあるが、特に女性には多い。女性の<痔>は、今言った骨盤の左側の変動、つまり血行や心臓の関係の変動が<痔>として現れることがとても多いんです。そうなるのは、分娩の際の助産のありかたの問題がある。体に無理がないように産ませるという方法が影をひそめて、予定日に産ませるような方法をとったりする。本来は自然に産まれるものなのだから、手伝う必要があるのは最後の気張るときぐらいで、そのときお尻の穴を押ささえすれば、<痔>にはならないのですが、そういうことがだんだんされなくなってきた。

 

<痔>というのはすべて体の左側の故障で、血行と関係している。

我々は野中君が提唱した<左足の小指>を押さえると効果があるという方法を良しとして、正式な操法として採用していますが、この一点に限らず、足の小指の系統のいろんな部分というのは、<痔>に関連している。L2の左、D4の左、D8・9・10の左というようにみな<痔>に関連している。<痔>にもいろんな種類があるが、これら全部をやっても残るのは脱肛ぐらいです。それは頭の真上を押さえます。最後にのこるのは<痔瘻>ですが、これは身体全体を改善しないと治らない。呼吸の病気が治ってくる段階で<痔瘻>になる場合があるが、そうなればもう安心だと、昔は言ったりしていた。あるいは、脳溢血を起しそうな場合に、<痔>が出血することがある。これは<痔>がうまい具合に血行を塩梅しているという意味で、<痔>というものはいいものも悪いものもあって、体の安全弁ということも結構あるんです。

しかし、いちいち痛むのではかなわないから、その場合にはL2の左を上にあげるように愉気すると割に簡単に治る。L2の愉気よりも、相手を坐らせて、手を突っ込んで愉気すれば一番簡単に治る。ただ、L2が硬直していると、愉気の効きがすこぶる悪いので、やはりその場合はL2をやるほうが早く治る。

 

昔は私は癌というのは<やきもちの塊>だと思っていました。或る人は、よくやきもちをやくのですが、わいわいとやいたことを口に出して言わせるようにすると、その癌が小さくなる。そういうようなことを随分見てきましたので、そう思っていた時期がありました。

まあ、いずれにしても<心と体を一緒のものとしてみていく>と、従来からあるものと少し違った<病理観>が出来上がってくる。

<体>に即して考えれば、癌というのは恐い病気であろうし、<痔>はお尻の穴の病気ということになるだろうけれど、視野をもう少し拡げて、<人間の全部>から見た場合には、頭の異常がお尻に出て来たり、腰の二番の異常がお尻に出て来たり、性欲の転換したものが癌だったりということが、いろいろ見えて来たりする。

そうして、それらの異常というものは、解決のつかないものではなくて、広い視野から見て、いろんな面を揺すぶっていくと無くなってしまう。私はこのことを、自分の体験としてやってきて、そう思うのでして、<やって治る>からそうだと考えてきた。求心的に、治してきた経過によってその病気の経過とか、性質とかいうものを知っていくという方向ですので、従来からある病気の見方とは随分違っている。

だから、癌といってもそう恐いものであではなくて、これも骨盤操法をするとすぐ治るが、それが胃の癌であっても腸の癌であっても、骨盤の操法をすると変わってくるのです。男の骨盤の操法というのはあまり変化がないのですが、女の骨盤の操法は、たとえ月経が無くなってからでも、明瞭に影響を起こしている。男と違った変化を起こしている。まあ、そういうように骨盤操法は女にとって一番重要なものなんです。

 

最近は、骨盤内の鬱血が<痔>の原因とされてきたので、骨盤で<痔>を治すということも、最近の医学常識に適う面があると言えるかもしれませんが、乳癌や胃癌や食道癌と言われた人がこの骨盤操法で変わってきたりすると、ちょっと妙な感じがしますが、それはこれまでの癌に対する対処の仕方や考え方を変えなければならない問題だと思うのです。

そんなわけで、私自身は、癌というものは、風邪を予防したり、風邪を治したり、結核を治したりしたことの結果として出てきた産物だと考えているのです。だから、癌だという人が風邪をひいたりすれば、もう大丈夫だと思うのです。

風邪を無理に治したり、風邪を予防したりということが、癌の生じる原因にあるのではないかと考えています。また、いろんな細菌をみな殺してしまい、その結果カビが増えてきたというのももう一つの原因ではないかと考えています。

ではどうすればいいのか、といえば骨盤の処理をする。

骨盤の変動は月経の前後、排卵日の前後かその当日が一番変化して、月経の最中は存外変化しない。月経の始まる前、終わった後、特に終わった後が一番変化する。

上手になればいつでも動かせますが、初めのうちはそういう時期を選んだ方がいいようです。

骨盤を締めて痩せさせる操法の場合でも、その時期に行うと、急速に痩せていく。それ以外の時期にはかなり無駄玉になる事が多い。操法が非常に上手になれば、効果はあげられるのですが、そういう骨盤が自然に動く時期以外のときにも自由に動かせるようになってそういうことをするのは、邪道なんです。そこまで巧妙な技術というのは、人間の体を修繕するというよりも、逆に体を毀してしまうという面が多いので、やはり自然の動きに沿って技術を使うというのが本来なんです。

ただ、月経が閊えたというような場合に、骨盤をトンと叩くという事をする。それはある意味で相手の体の自然の動きを破るものではあります。そういう体の自然の動きを破る必要のある時には、上手な技術がないと効かないが、骨盤操法というものはそれほど上手でなくてもいいのです。

 

(骨盤操法の実習)

ちょっと体を貸してください。うつ伏せになって下さい。骨盤操法を行なう前に、骨盤を弛めておかないと効果が上げにくいです。妊娠している人以外は、俯せにしてください。

これを持って、この脇にくっつけて、足をこう反らします。これをやりますと、骨盤は弛んできます。

これだけではフッと放したときに骨盤が逆に締まってしまうような人は、かえって緊張して動かなくなってしまいますので、そういう人にはこれをこう持ってくる。できるだけくっつけて、お尻が上がるところ迄持っていきまして、これをこう開くと、これをこう膝につけながらこう開くと、ちょっと拡げてもかなり強く響いてきます。それから戻す。戻す時は一緒に戻すようにする。これが骨盤操法の準備であります。

しかし拡げるのは、これ。片側に拡げるのは、これ。片側を叩けばいい。その方が拡がる。今のは拡げたり、落としたりする方、化月操法。骨盤を上げる場合には、L4が硬直していると動かない。いまの操法をやると、大体はL4が弛んできます。

L4が下がっている方の側に出ている場合には、これをちょっと上げるだけで多くは上がってきます。しかし、下がっている方へ逆に飛び出している場合、左が下がっているのに右が出ている、あるいは右に硬直があるというような場合には、非常に治りにくい。L4自体を押しても効果は鈍い。そういう時には、(仰向けになって下さい。)下がっている方の足をこう持ち上げる。これを折って、そとにこう廻して、足をこう内に踏んでいく。ゆっくりとこう引っ張る。曲げて、曲げたまま引っ張る。そうすると逆に引っ込んでいる場合のL4が出てくる。だから最近私は、腰椎のヘルニアでL4が狂っていることが多いので、みなこれで治しております。簡単でいい。お尻を押すより、足を引っ張って、放して治ったと。これでいいのですから、簡単でいいのでやっていますが、これはL4に直接影響があります。L4が特別に下がっている方の逆に出ている場合には、この方法をとる。

(俯せになって下さい。)多くの場合、腸骨が下がると、L4が引っ込んでいるか、極端に飛び出しているかします。

引っ込んでいるものは仙椎二番を軽く叩いているだけで上がってきます。L4がL3やL5に対して特別に引っ込んでしまっている時には、いろんな骨盤操法をしないでいい。これをこう叩いているとL4が出てきます。そして腸骨が上がってきます。叩くか、そうでなければ腸骨を下に下げます。何回か。そうすると下げるたびに上がってきます。どちらの方法でもいい。

問題は、L4が飛び出してしまって、腸骨が下がってしまっている場合、生理的に弱ってしまっている状態なんです。だから下がっている方が自然なんです。こういうのを上げると、方々に異常を起こします。しかし、異常を起こすけれども、それと同時に、腸骨が下がったことによる異常はなくなってくる。そんなことで、下がる度合いがごく簡単なうちは、こういう上げる操法を講じます。

この上げる方法は、足を開きまして、上げようと思う分だけ余分に開きまして、腸骨のこの部分をこう斜め上に、この腸骨櫛に向けてこう押さえます。ちょっと触ると、そういう時は痛いんです。自分でも判るんです。お尻のこの部分だけ冷たいんです。こう触ると。それは腸骨が下がっている人。だから歳をとってくるとそこだけが冷える。

よくそれを自覚する人がいますが、その部分を斜めにやると、自覚している人は痛い。痛く感じない人は、この方法では上がらないか、上げても保たないですから、無理に上げない方がいい。もう少しL4を中心に操法して、そして上がる時期になってから上げたほうが良い。

普通はこれでいい。向こうへ押します。それから仙椎の二番と四番の穴に、こことここを入れるようにして、こちらからの場合にジッと真下に押さえる。真下に押さえるのには手はこうずれますから、こっちをこう、これを押したのにこれをこうやる。そうすると腸骨は上がって参ります。非常に硬直している場合は駄目ですけれども、そういうのは頭の方を処理しなければ駄目ですが、これは寝小便を治すのにも時々使います。腰椎のヘルニアのなかに、L5が狂っていて仙椎部を押さないと治らないのがよくありますが、S2をパッと刺戟するとボソッと治る。L5そのものをいくら押しても治らないというのがありますが、そういう場合でもこれを行なって、腸骨が上がる時にS2をパッと押せば、すぐにボキっと治ります。これが一番易しい骨盤の操法です。

まだ骨盤操法は沢山ございますので、一応準備の方法とやり方を練習して頂こうと思います。これが操法の一番基本ですから、練習で覚えていただきましょう。

(練習)

はい、練習をやめてください。

腸骨櫛がL4の位置にあれば正規です。L4より下に行ってれば、下がったといたします。

どちらが下がっているか、それを確かめてみて下さい。

月経の直後の人は上がっていることがあります。あるいはエネルギーが余っている場合には上がっていることがございます。男で下がっているのは、神経衰弱で、それは神経系統に影響があります。男でも少しは下がります。ただ男は操法しても、女のようにはサッと変わらない。

下がりを見る場合に、その大きさが同じように下がっている時は下がりなのです。ところが、片方が大きくて、片方が下がりが小さく感じる時は、下がりではなくて、つまりこっちが下がっているのではなくて、これが前に行っているんです。前に行っているか、こっちが開いている。これが開き。これが下がりなんです。この部分のこれが下がりなんです。だかにらこれは開きとか前とかいうような面で見て、こちらは今の操法の準備も操法の対象になりません。こちら側の方が、今やっている部分です。

間違ってやりますと、これは練習で型ですから、あまり一生懸命に真剣にやると、体が狂います。狂いますと、狂った方の足首が硬くなります。そこで硬い方の足首を回転させてやわらげておきますと元に戻ります。だから、一応やったらば足首の回転をやって下さい。

それから、骨盤が前に行ってしまったり、巻き込んでいる時には、巻き込んでいる側の足を外側に開くと揃います。開く度合いは、その実際によって決める。

俯せになった場合に、足をこう揃えている人は、大体骨盤が正規の人ですが、外にこう向けている人は、こう向けてやっている時は骨盤が縮んでいる。つまり腰が緊張してしまった、あるいは腸骨が下がり過ぎた時に、外にやります。

だから俯せになってこう寝た時に、こうやっている人は、腰に力がつかえているんです。こうやっている人は、素直にいって弛んでいる。逆にこうなってしまっている人は、もう緊張し過ぎてしまっている。力が抜けないんです。

男の体を治す場合に、足をこう外側にして俯せにして腰椎の三番の一側を、硬結があればそれを押さえていると回春操法になるんです。開いたまま持ち上げるんです、お尻を。こうなっているのを、こう持ち上げていくんです。こう持ち上げる時に、L3の一側の硬結をギュウと押さえて、ポッと放すと、放す時機がよければ、それで変わってくるのです。これは骨盤を開く型の現れですけれども、意識してやると締める方法になるのです。だからそれを意識してやったものと、自然にやったものとは、アベコベなのです。開いているのと、締める方法としてやっているのとではアベコベなのです。

だからそれを区分して見ることは重要です。まあこの操法を受ける人は、大抵開いている場合が多いです。

それから、上がり下がりの中で、型が小さい時には、あるいは前に行っている時には、前に行っているのを少し開くようにすると平均します。これが次の、前に行っているのを正す操法になるのですが、共に足首の硬い人は治りにくいのです。だから足首の操法というのは、骨盤操法の準備というか、それとしてやる必要がある。

同時にやった後にこれを弛めるようにすると大抵元に戻るんです。だから骨盤操法をやった後で、ぐるぐる回転したらば、ご破算ということになる。そうするとやらない方がよかったということになる。今日のは、そのご破算にしておくんです。上手くいっている人は構いません、そのままで。しかし女の場合、あと始末をやって頂かないと、すぐその月から月経に変動を起こします。特にこれを押さえますと、これは股関節の狂いを治す準備の場所なんですが、これをやりますと月経は確実に狂って来ます。それも多くなるのが普通です。中にはあべこべに出なくなってしまうものもある。そんなのは、これをいじった場合には必ず足首をやって調節しておいて頂かないと、すぐ毀れてしまう。此処へ来ている人が皆毀れてしまったら整体協会は形無しですからね。

(練習)

どうぞおやめ願います。

月経の前後は、骨盤が開閉します。排卵日の当日は、少しの刺戟で骨盤が大きく動きます。もっと大きく動く時期は、分娩の後であります。分娩のあとの体の調節というのは非常に大事であって、その時期がむしろ骨盤操法の中心点であると考えていいでしょう。だから分娩の後さえ上手にやれば、その人の健康状態はかなり高度に導くことが出来ます。その逆に、この時期に不始末があると、ずうっと狂ってしまうことがよくあります。・・・

分娩後、腸骨が締まらないうちに起きてしまうと、太ってしまう。寝すぎてもいけない。太るという事以上に、それは見えない処、つまり膣内の筋肉の収縮力に影響する。収縮力が皆弱ってしまう。

骨盤が巻いたり、開いたりする開閉動作が不明瞭になって、上がり下がりの動作ばかりになる。下がりはたるんでしまったということなのですが、分娩後これが下がるようだったら、膣内筋肉がたるんでいるといっていい。

私が指導している人達に、分娩後の<起きる時期>を指導しますと、そういうことがなく、人によっては内部の収縮力が却って増えてきたというような場合が多い。

つまり骨盤の締まりがよくなる。

ただ足を「く」の字に曲げてトンと開くだけでも収縮する力は増えてきます。今のように、足首を外に行くのを内に矯正するようにすると、それだけで膣内の筋肉の縮む度合いが増えて参ります。

肛門を締めるようにすると、それがなお増えてくる。だから肛門を締めてそれを保つような訓練は、どなたもやったほうがいいと思うし、それは若返りにも通じる。

それだけではできないものを、骨盤操法でやるのですが、今日やったのは、骨盤操法というよりは、その操法をするための準備の問題といえる。・・・

今日は準備の方法だけを説明したんですが、こういう大袈裟なことは、普段はあまり使いません。何故かというと、骨盤が自然に動く時期にやるというのが建て前で、準備してやっとのこと動かすというようなそういう時期は、本来動かさないというのが我々の流儀だからです。だから準備をしてやるようなことは避けるようにしております。

自然にその月の月経時に、全部が弛まなかったならば、次の月経の後には全部弛むように操法する。

腰椎の四番を治す場合には、ここを押さえるとか足を曲げて引っ張るという程度の準備をすることはありますが、それはL4を治すにはそのほうが早いからです。

 

ところで、骨盤の矯正法とか、股関節の矯正法というのは、技術的には極めて難しいもので、相手の力だけを使って操法出来るようにならないと、出来ないんです。

やる側の力で、自分の力で力づくで押しているうちは、なかなかできない。

そういう点で、もうちょっと操法の、押すといいますか、呼吸で相手の体を動かす方法といいますか、力を使わない技術を進めないと、それらを行なえない。

中等でやった技術を自分で鍛錬して、身につけていないと骨盤操法は実効を上げることができません。みな、つい力を入れてしまうという習慣がついてしまっている。

中等では相手の力を利用してこちらの力を高めるということをやったのですが、この高等講座の場合は、<全部相手の力でやっていく>というつもりでやる。操法というものは、そうやって出来るものなのです。こちらの力で押さなくてはならないと考えているうちは、初等のレベルです。

 

(実技)

出来るだけそーっと触るだけで、こう触れば戻ってくる力があるんです。こう戻ってくる力を、戻る途中で、ちょっとこう受ける。こちらから押さなくても、戻ってくる力を受けるだけで、何倍かのショックになるのです。

だから、ただ押すだけでは駄目で、押す時にこれを絞っていかなくてはならない。こう押したのと、反動をつけてちょっと押さえる。反動を利用するということが大事なんです。反動をつけませんと、弱る。

今やりましたのは、手のここを押さえます。ここを押さえまして、これをこう引っ張る。これだけの操法なのです。<型>で押さえる。

力をちっとも使わないのに、相手が強く感じる。そういうことを会得しますと、骨盤は簡単に動かせるようになります。

一回揺すぶっても動かないものまでも、何度かこう揺すぶっていくとだんだん動くようになる。動くようになったものがフッと止まる。その勢いで形が変わるのです。

大きな石をこうやっても、動かないけれども、何回かゴロゴロ、ゴロゴロこうやって段々動きが大きくなった時に、トンと放すとゴロゴロ転がるのと同じように、最後の放す時、繰り返しやっているのをやめる時、その時が動かす時期なんです。

骨盤はそのようにやらないと動かない様な骨なんです。股関節も同じです。

だから、殊更にそういう技術を会得して頂かないと、力だけでは動かせない。

だからこの<型で押さえる>ということに特に留意してご練習願いたいと思います。

今日はこれで終わります。