野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

「整体操法高等講座」を読む<25> 婦人の操法(5)

pcの不調の為、新しい はてなブログ「野口整体を愉しむ(続編)」flyingpoohとして再出発します。ご迷惑をおかけしますが、新しいパソコンによる続編にも、お立ち寄りくださるようお願いいたします。 「整体操法高等講座」<25> 婦人の操法(5) (1968.2.5…

「整体操法高等講座」を読む(24) 婦人の操法(4)

野口晴哉氏の思想や技法を、手元の資料を手掛かりにブログとして記述していくことが、思いのほか難しいことであることを日々実感する毎日です。この困難さを感じる理由は、資料を右から左に書き写すだけでも難しいことなのに、<私なりの要約として記述する…

「整体操法高等講座」を読む(23)婦人操法(3)

私たちの生活の中で生起する様々な身体の不調や、他者との人間関係で生起する葛藤などを、どのように理解すればよいのか。或る事象や現象は、それを<どのような文脈において理解するか>によって、まるで正反対の意味付けを与えることが出来てしまう為に、…

「整体操法高等講座」を読む(22)婦人操法(2)

今日は婦人操法の第二回目です。私はちょっと脇道にそれて、三木成夫(しげお)氏の『胎児の世界 ー人類の生命記憶ー』(中公新書1983.5.25)と、最相葉月(さいしょうはづき)氏と増崎英明氏の対談本『胎児のはなし』(ミシマ社2019.2.4)の二冊を同時並行…

「整体操法高等講座」を読む(21)婦人操法(1)

個人は、他のどの人とも異なっている。その差異を正確につかむことに、これほど厳密な方法を徹底した人間はそう多くはいないだろう。整体操法講座を読み進めていくと、そのことが朧気ながらも理解できるような気がしてきて愉しくなる。野口氏が語ろうとして…

「整体操法高等講座」を読む(20)子供の操法(8)

この数日、『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』(NHK出版新書 丸山俊一 NHK「欲望の時代の哲学」制作班 2018.12.10)と養老孟司氏と名越康文氏の対談本『「他人」の壁』(SB新書)を読んでいた。私は、<意識>とは何か、<人間が創り上げた世界…

「整体操法高等講座」を読む(19)子供の操法(7)

私の引用癖は相変わらずで、今日は内田樹氏の昨日(2019.4.15)のブログをそのまま引用させていただきます。私のブログは、自分自身の備忘録の一面もありますので、読者の皆さまにはお許しをいただくこととして・・・ いつも内田氏のことばは、私が表現した…

「整体操法高等講座」を読む(18) 子供の操法(6) 潜在意識指導

野口氏の方法の際立った特徴の一つは、目の前の実際の人間の運動系を丁寧に観察するところにある。その観察は、まず相手の体に触れ、その体から得られる情報(筋の硬直状態、硬結の位置、体の他の部分の硬直との関係、呼吸や脈、体周期など)を基礎にして、…

「整体操法高等講座」を読む(17)子供の操法(5)

私たちは日々の生活の中で、<病気>という現象にどのような意味を与えているのだろうか。<病気>が、日常のありふれた社会生活を停滞させ、阻害するという面があることから、それから一刻も早く逃れたいと考え、その現象をなくしてしまいたいと焦ることは…

「整体操法高等講座」を読む(16)子供の操法(4) 

「整体操法高等講座」(16)子供の操法 (1967.10.5) 前回<頭の形>について説明しましたが、<ぜっぺき>とか<半絶>とか、いつの間にか操法を受けに来る人達に、うちの子は<半絶>でしょうかとか、気にする人が多くなって、少し余分な説明をしちゃった…

「整体操法高等講座」を読む(15)子供の操法(3)

今私が引用させていただいている資料は、原本ではなくてそのコピーです。この講座に参加していた方の持っていた口述記録の原本のコピーです。そして、このコピーの最終ページにはその方自身による、講座内容を要約した手書きのメモが、毎回走り書きで残され…

「整体操法高等講座」を読む(14)子供の操法(2)

野口氏はこの高等講座の第13回で、<整体操法の原理>について次のように語っています。なぜ野口氏が、生理解剖学の知識や、東洋医学の<経絡>の知識を徹底的に学んだうえで、それらに自らの思想・技術の根拠を置くことなくそれらを<捨てた>のかについて…

「整体操法高等講座」を読む(13)子供の操法(1)

「整体操法高等講座」(13)1967.9.5 「子供の操法」(要約) これまで、操法をやる迄の問題をずっと話してまいりましたが、これから実際に操法をどうやるのか、についてお話ししようと思います。 最初に、生まれてから四歳前後までの子供にはどう操法するかに…

「整体操法高等講座」を読む(12)質問に答えて 

いつも思うことなのですが、野口晴哉氏による整体操法の口述記録は、野口氏のリアルさを体験できる貴重な資料です。そこには、氏の語録や全生訓などとは趣の異なる、生身の息づかいが感じられる。その語り、そのことばの持つ射程は、語られている野口氏の<…

「整体操法高等講座」を読む(11) 腸骨操法

野口氏は前回の高等講座の後半部分で、なぜ<腸骨>の変動に興味を持って観察してきたのかという理由を、次のような興味深い言い方で語っています。以下に引用しますが、こういう氏の語り口に、野口整体法の本質が垣間見られるような気がしますし、こういう…

「整体操法高等講座」を読む(10)出産問題

さて、今回も出産の問題です。(続く次回は「腸骨操法」がテーマです。)今回も整体操法技術の未熟な私にとっては、文面の要約さえもがとても難しくて、結局のところ多くを省略せざるをえませんでした。 そこで後半部分に「野口晴哉著作全集 第八巻 後期論集…

「整体操法高等講座」を読む(9)出産に関連してー整体指導

野口氏は整体操法はほぼ完成されたものと言っていい、と語っています。それは、人間の<身体><心身><心>の全ての領域に対する整体操法による働きかけが、一定の原理としてほぼ十全に提起できたということの表明であると私には読み取れます。そしてそれ…

「整体操法高等講座」を読む(8)妊娠ー整体指導

今回の講座内容(「整体操法高等講座」(8)1967.6.15)を一読して、はたと困ってしまった。タイトルにもあるように、ここに記録されているのは<妊娠>と<出産>に関するものだが、私には、そこに記された内容が、あまりにも縁遠く、途方もなく難解で、要…

「整体操法高等講座」を読む(7)圧痛の呼び起こし

前回のワープ方式、ノート形式だと、要点の記録だけになってしまい、野口氏の講義に流れる<時間>の経過やその<空間>のざわめき、野口氏の豊富な事例のリアルさや、話された言葉のニュアンスなどが全部吹き飛んでいってしまうことが分かる。これではせっ…

「整体操法高等講座」を読む(6)相手の力の使い方(4)

今日の講座記録は、これまでとは違った方法で記述してみます。私が講座の現場にワープしたと仮定し、野口氏の講義をノート片手にメモした場合どうなるか、そんな感じでフィクションを書いてみようと思います。つまり、講座記録を読むというのではなく、講座…

片山洋次郎氏の整体の本(1)

片山洋次郎氏の整体についての著作群は、私のお気に入りである。いつも片山氏の本をバッグに詰め込んで、喫茶店や地下鉄車中でぱらぱらと眺めたり、就寝前に寝転がったまま一言ひとことを味わうのがこの上なく愉しい。 それは、片山氏の語る<整体>が、野口…

「整体操法高等講座」を読む(5)相手の力の使い方(3)

前回の講義録を読んでいる途中から、急に永沢哲氏の大著『野生の哲学ー野口晴哉の生命宇宙ー』(ちくま文庫 2008)が読みたくなり、書棚から取り出して改めて読んでみました。その書き出しは<天使>ということばで始まっています。そしてずっとキーワードと…

「整体操法高等講座」を読む(4)相手の力の使い方(2)

どれほど最善を尽くし、完全を期したつもりでも、それが人間の意識によって行われている限り、必ず一定の限界を持つものである。 整体操法という人為による他者の身体や生命に働きかける技術というものも、その例外ではありえない。こうした事実に、謙虚に向…

「整体操法高等講座」を読む(3)相手の力の使い方(1)

口述記録の冊子の作成というのは、担当された方が、野口氏の講座を、一回一回テープに録音し、それを再生して、テープに耳をそばだてながら、一言一言聞き洩らさないように丹念に文字に落としていく作業です。やったことのある人ならすぐに判る事と思います…

「整体操法高等講座」を読む(2)「間」について

今日の要約は「整体操法高等講座」(昭和42年4月15日)の第二回目です。 <読む>ということは、とても難しいことです。野口氏の表現した言葉に込められた意味を抽象化された概念として理解することの難しさであり、野口氏自身が経験し、獲得した知見や思い…

「整体操法高等講座」を読む(1)体を動かすもの

「整体操法高等講座を読む」と題して、野口晴哉氏の口述記録を始めたいと思います。このブログで「整体操法の基礎を学ぶ」と題して70数回の講座の記録を紹介してきましたが、それらはI先生宅での研究会の様子を、I先生が作成した資料に沿って記録したもので…

野口裕之氏の論文に学ぶ

「月刊全生」最新号(平成31年2月号)が昨日届けられた。そこに「生きること死ぬこと-日本の自壊ー」の先月号に次ぐ完結編がある。これは「教育哲学研究」第89号(2004年5月)に掲載された野口裕之氏のシンポジウムでの発表論文の再掲である。 明治維新以降…

整体操法の提唱

『野口晴哉著作全集第三巻』に「整体操法の提唱」(p.439-617)と題された昭和二十二年から二十六年ごろ、つまり敗戦後間もなくの時期の野口氏の文章がある。 そこには野口氏が「整体操法制定委員会」の委員長を引き受けることになった動機が次のように表現さ…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(76)型、処、基本型など(最終回)

今回で、「整体操法の基礎を学ぶ」のⅠ・Ⅱ・Ⅲの最終回となります。これらが、私と私の知人がI先生から学ばせていただいた講習会の資料のほとんど全てです。講習会が終了したあとも、私が困ったり悩んだりしたときには、長時間電話でご指導を仰いだり、直接個…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(75)操法における「触れる」ということ

<野口晴哉氏の思想と技術は、未来を先どりしている。> 私がそう考える理由は、氏が自己の身体と意識のみ用いて、「整体」という理念に向けて、人間の身体や心に働きかけるという方法を見出だしたと見えることによっている。 自分というもの以外の何物も用…