2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧
1976年6月22日、野口氏は自宅で64歳の生涯を終えられた。永沢哲氏の「野生の哲学 野口晴哉の生命宇宙」(ちくま文庫)には野口氏の最後の様子が次のよう書かれている。 「・・亡くなる四日前に、鳩尾に出来た硬結を、一人の弟子ーそれは家族であったーに触ら…
I先生、「前回までは整体操法の理論を、実習を交えて説明してきましたが、今日は一休みして、救急操法を通して、具体的に生活の役に立つ技術をお話しします。」と前置きして、第二十回目の講習が始められた。 救急操法 脳活起神法(気絶に対する操法) 相手…
第19回目のこの日の講義は、野口整体法の重要なキーワードの一つである「病気は経過させるもの」についてです。野口氏の言葉のすべてに通奏低音として鳴り響いているのが、生命や生きていることそのものへの敬意であり、生命に対しての礼をもっての受動的身…
今回で三回目の「一側」をめぐる講義です。一側について、これほど豊かな表現を与えている野口氏に、驚きと畏怖の念を抱かずにはおられません。素人の私たちにも何とか一側のもつ多彩な表情をとどかせようと、くりかえし繰り返し、重層的に語りかけています…
一側の影響圏 一側は、呼吸器の問題、生殖器の問題、神経系統の大脳緊張の問題と関係がある。一側は正常の場合、七、八本の線をバラバラと感じるが、体が悪いと一本になる。あるいは全然触らなくなる。 外側の筋肉にある線は、二本ないし三本で、これはあま…
I先生からの講義の16回目。いよいよ「一側」についてである。I先生の教えは、野口晴哉先生やその高弟指導者から直接学ばれた経験と、野口先生の著作や口述記録等を手掛かりにI先生ご自身が整体指導者として積み重ねてこられた経験とが織り込まれた、得難い宝…
脊椎操法 脊椎の異常というのは、それを正すことより、それがひとりでに整っていくように仕向けることに意味がある。脊椎そのものを調整するということは、整体操法ではあまりしない。ただ、曲がっている状態に応じた刺戟を加えると、自動的に整っていく。 …
新シリーズ第二回目(通算第14回)の今回は、「下肢操法」がテーマです。目指すべき美しい頂上は遥か彼方で、裾野の草木を押し分けながら、すこしずつループ状に歩みを前に進めることしか出来ませんが、それでも野口氏の導きの糸は、はっきりと示されていま…
「今回から11回にわたり、触手法、呼吸法、処などを一応マスターした準段位程度の者を対象に講義、実習を行う。今回以降の内容は、各処(ところ)の具体的な使い方や矯体操法のやり方など、細部に入っていくので、たとえ練習といっても、度が過ぎると体を壊…
前回の「技術上達のための重要事項①」に続く同日に行われた講座です。整体操法は、からだの表層部各所にある、「処」といわれる部分が表現している、虚実、緊張・弛緩、圧痛、過敏、鈍り、硬直などの度合いを鋭敏な手指で観察し、それを言語化、体系化したも…
I先生より、「今日は整体操法初等講座としての最終回です。次回からの整体操法基礎講座の前提として、技術上達のために重要となる諸項目を説明し、実習をします。」の前置きから 11回目は始められた。 I先生の言葉や指導の向こう側から、毎回、野口晴哉氏の…
I先生の次の言葉から第10回は始まった。「前回までは、ごく大雑把にからだの各部分の処を行いました。そこでは訓練された指で体が読めるようになる、ということが目的でしたから、少々下手にやっても害はなかった。繰り返し練習しても安全だった。そのかわり…
下肢調律点に触れて処を憶える 膝窩 ここは気の問題を離れても痛い処。疲れている時、消化器や生殖器に故障があるとき、泌尿器の故障、小便の出のわるい時、みなここが痛い。ただ気が入っている時と抜けている時とでは、痛みの感じが違う。 膝の上 大腿部に…
整体操法は、昭和20年前後に、療術各分野の大家とされる十数名の委員によって、日本における各種手技療術の成果を検証し、統一化し制定された。各種の主張や表現は異なっていても、「身体外部から触知し得る体の或る場所に、体内の異常に対して触知し得る如…
今回も、腹部の観察についてです。I先生の講義を通して、そこからかすかに響いて来る野口氏の生の声を聞き洩らさないように、心をこめてこの記録を進めたいと思います。というのも、野口氏が最晩年に遺された「我は去る也」と題された文章には、次のような哀…
野口整体を愉しむ、その愉しみの一つが操法の実習です。今日はその六回目の記録です。よき指導者に恵まれ、基礎の基礎から手ほどきを受けることの喜び。それは野口晴哉氏の声を、I先生を媒介にして、直接身に浴びるような体験にわたしには思われる。 整体操…
第五回目です。読者の皆さんと同じ時空を共有できないのは残念ですが、このブログを通じて野口晴哉氏の息吹の一端を味わい愉しんでいただければと祈念します。 愉気による観察 手指で行う操法のすべては愉気が基本となっている。指の下にあるのは愉気という…
I先生宅での学びの四回目。いつものように、まず、いただいた資料を友人と私で声を出して順に読み、続いて先生からの説明、講義と、それに続く実技指導とその練習。 病気は治すべきものか 病気を治すという行為は、人間の体にどのような影響をもたらすか。病…
急所の偏り疲労 体に疲労が偏っていても、急所でなければ一晩寝れば治ってしまう。しかし肩の急所に偏り疲労が生じると肝臓や胃にも影響を与える。 足首がちょっと狂っても胃袋は悪くなる。腓骨と脛骨の間が拡がって右足が太くなると、食欲がなくなったり、…
上肢調律点に触れる練習 先回述べた偏り疲労が、からだの急所に生じると、打撲したときのように、いろいろなところにその影響が生じる。 急所の打撲というのは、たとえば足の甲の第四指と第五指の間を強く打つとひっくり返ってしまう。上肢第四を強打すると…
私が友人とともに、I先生宅で教えていただいた、二年余りにわたる整体操法についての実習の記録です。I先生宅の広い和室で、先生一人、生徒二人で行っていただいた一週間に一度の三・四時間の実習についての貴重で濃密な記録です。標題のように講義・実習の…
野口晴哉氏の整体法のシステムがどのような意味を持つものであるかについては、それに向き合う個々人の固有の宿命によって規定されるだろう。私たちは私たち固有の宿命から少しも自由になってはいないのだし、いくら客観性の意匠や、あるべき理想の理念とし…
野口整体を愉しむという視点から整体を考えることは、一人の生活者として野口整体に素人として向き合うことを意味している。 野口晴哉氏の到達した思想や技術の総体をわが身に体現したいという思いは心の片隅にないとは言えないが、整体指導のプロとして生き…
野口晴哉氏の「風の効用」(ちくま文庫)をまず手に取って読んでみてください。ここには野口氏が直接多くの人のからだに接し、その微細な観察とそれに基づく数えきれない操法指導の実践から抽出した、風邪をめぐる膨大な知識を、丁寧にわれわれに語り伝えよ…