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整体操法の基礎を学ぶⅢ(70)眼の問題

I先生、「整体操法講座第五回目の今日は、<眼>の問題について説明したいと思います。」

 

眼の問題、そのなかでも眼のまわりの筋肉の関係。これは頸椎二番が最初に関係してくる。眼のまわりの筋肉や粘膜の故障。トラホームとかはやり目とかは眼縁の病気ですが、普通眼病といわれるものの多くは眼縁の病気です。これらは頸椎二番、上頚をやるとそれだけで治ってくる。それ以外にやるとすれば、頸椎から胸椎の三番にかけて、その皮膚を直接擦ると、異常のある場合は赤い斑点が出てくる。その斑点をつかまえては放し、つかまえては放ししていると、治ってしまう。それから、眼縁そのものを直接上に持ち上げる、これはなかなか有効な方法で、眉の真中を上に上げる、眼窩を眼の上の骨に指を突っ込むようにして上に押し上げるというのが一番効果がある方法です。これは、眼縁だけでなく眼球野障害にも有効で、乱視や近視にも効果がある。

眼縁の問題は、筋肉系統と粘膜系統に分けることが出来る。筋肉系統の故障は全部、腰椎の一、二、三番と関係している。老人のまぶたが下がってくるのは、腰椎の曲がりが原因です。食べ過ぎて瞼が重くなり下がってくるのも同じ。食べ過ぎると腰椎一、二が硬くなってくる。すると空想、連想作用の良い人は、眠くないはずなのに眠くなってしまう。

 目にゴミが入ったという人がいるが、それは眼の反射作用が鈍ってきたためであり、そういう鈍りは腰椎の一、二番の二側と胸椎四側の関係です。

粘膜の関係、トラホームとか結膜炎などは、上頚と頸椎の二番、胸椎の九番の関係。

トラホームは明らかに体質的なもので、肝臓の機能が不十分な体と、頸椎二番の歪みが重なった時に起きる。トラホームは直接愉気するのが一番早い。繰り返す時は肝臓をきちんとすると治る。一つの栄養異常の病気と考えていい。

眼の粘膜は、胸椎九番と関連がある。眼の上の筋肉は腰椎一、二番と関連がある。眼の下の筋肉が下がるのは、眼そのものとの関係はなく、生殖器と関係がある。

 

練習

座姿で、まず上頸の悪い方を押さえる。つぎに頸椎二番の二側を押さえる。これで皮膚が赤くなるようなら、棘突起の両側を刺戟する。視力に異常のある人は赤くなる。

眼球に異常がある場合は、胸椎の一、二、三をやる。これも皮膚が赤くなる。その中に白いものがポツンとあるときはそれを爪で潰すようにすると、いわゆる眼の曇りがなくなる。

次に、胸椎の九番を操法する。それから、眉のつけ根、真中を押さえる。ここは迷走神経の異常緊張によって生じる異常に効果を発揮する。糖尿病、神経痛、しゃっくりなどにも効果を発揮する処。ただし、ここはやり過ぎると、腰が痛くなるので、二、三回を限度とする。

頸椎を調べる場合は、仰臥の方が分かりやすい。一度、確認しあってみて下さい。

 

(眼球の運動の問題)

眼球の運動の問題で一番多いのは、呼吸器に関係したもの。つぎに生殖器や脳自体の関係。虹彩に変化があるのは呼吸器系統、結核の人が喀血するような場合、その前に虹彩に異様なしみが出てくる。

水晶体は頭部第五と関係する。角膜が溶けて虹彩のなかにいわゆる星が出るというのは結核の場合が多い。

眼球の運動に関係するのは、頭部第五、胸椎の一、二、三番、頸椎の一、二、三番、腰椎の一、二、三番。近視や乱視は毛様神経が悪くなると生じるが、頭部第五と胸椎の一、二、三、五を処理すると良くなる。乱視は頭部第二を加える。

仙椎の二番に圧痛のある人は、病気の経過が悪い。だから脚気であるとか心臓が悪い人が眼球にけがをすると、それを機会に病気が悪化するということはよくある。

 

(このあと、見る系統の問題についての説明がなされましたが、私の能力では資料そのものの理解が難しくて、記録そのものがうまく出来そうにありませんので、残念ながら省略させていただきます。申し訳ない。)