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整体操法の基礎を学ぶⅡ(65)各体癖の特徴とその矯正法

I先生。「今日は体癖とその矯正法を概観しておこうと思います。」

 

12種類の体型の特徴

第一種 上下型

1.頭の系統で、一応頭で考えないと身体の働きにならない。頭が身体を支配する。

2.力が前にかかる傾向。下を向くと後ろにかかる。

3.D5から上が弛まない。顔が小さい。

4.L1が突出しL3に力がかかる。

5.天候によって身体の変化が起こり易い

 

第二種 上下型

1.一種と逆で、種々の身体の異常が頭に影響する。

2.重心がD5より上に行って胴が割に長く見える。

3.L3が突出し、L1、2、3が弛緩している。

4.常に受け身で、先々の事を不安に思う。

 

第三種 左右型

1.身体が左右に偏り易く、肩の上がり下がりがある。

2.消化器が一番よく働き、いくら食っても胃を毀さない。

3.感情の動揺が非常に強く、何かあるとすぐ鳩尾が硬くなる。

4.背中が厚くなっている。

 

第四種 左右型

1.何かあるとすぐ消化器に影響しやすい。心配しても、疲れても、風邪を引いてもすぐ食欲がなくなったり、下痢をする。

2.心配、疲労、睡眠不足が肝臓や胃に影響する。

3.食べたくなるが食べるとすぐ腹を毀す。

4.感情が常に受け身で発散しない

 

第五種 前後型

1.呼吸器が身体をリードしている。

2.眠らなくても疲れない、呼吸器を毀しても疲れない人もある。

3.風邪はなかなか引かないが、引くと容易に治らない。

4.L1が突出、恥骨が出て肩が前に出る。

 

第六種 前後型

1.身体の変動が呼吸器にしわよせする。

2.性欲を抑制すると喘息が出るとか、息つく暇なく喋るという人が多い。

3.鎖骨が上につき、片方の肩が極端に前に出る。

4.腰の下部に力がない。身体が後ろに反って、恥骨が前に出る。

 

第七種 捻jれ型

1.片方の踵に力が入って、その逆側の前の外側に力が入る。

2.イライラすると小便がしたくなったり、また遠くなったりする。

3.強情で方向転換がきかない。

 腎臓系統でよくはしゃぐ

 

第八種 捻れ型

1.食べ過ぎると浮腫む、疲れると浮腫む・

2.風邪を引くと咽喉が腫れ、腎臓にくる。

3.泌尿器が弱く、化膿し易い。

4.新興宗教家には七種、八種が多い。

 

第九種 開閉型

1.女のような、男のような、といった身体で、エネルギッシュで疲れない。

2.身体が前に偏っている傾向がある。女は尻が突出している。子沢山。男は尻が下に落ちている。恥骨が縮んで尻が厚い。

 

第十種 開閉型

1.腸骨の上が開いている。

2.尻が平らで不妊型。若い時は痩せているが、年取ると太ってくる。

3.九種と違って、いたって人がよい。

 

第十一種 張弛型

1.エネルギーが余って身体がこわばっている。

2.腸骨が縮み、早老的体質で眠りにくい

3.足の外側に力がかかる。

4.身体は大体小柄である。

5エネルギー過剰型である。

 

第十二種 張弛型

1.エネルギーの消耗型である。

2.身体は大柄である。

3.妄想おさまらず空想が絶えない。

4.十一種、十二種ともに腸骨が落ちている。重心は外側にかかっている。

 

各体癖の矯正法

一種操法 頭の系統

操法の中心はアキレス腱を伸ばすようにする。

C1,4、D3が凝っている。

1.上頸の上、頭蓋骨の過敏を外側に開くよう調律する。

2.矯体法。仰臥。

膝を浅く立てて尻を上げる瞬間にアキレス腱を伸ばすように両踵を払う。この時、重心側の足を先に払い後から落とす。

3.伏臥。尻の小さい方の足をL2の角度に開いて足首を調律する。

 

二種操法 頭の系統

上頸および下頸が硬く酒を飲むと騒ぐ。D5が盛り上がっていて、それより先の方が抜けない。鳩尾がいつも硬い。操法の急所は、上頸と鳩尾にある。

操法

1.頸上の1、頭部第五の両側、腰活 腰眼

L2,4が緊張していると治る。弛緩の場合治りにくい。

2.仰臥。両足の踵を持って、足先を内側に向け、引っ張って開きながら落とす。鳩尾が弛む。操法のご破算の時にも使う方法。

3.伏臥。両足を腸骨の外側に押し曲げて、膝を術者の足甲に乗せて、足首を外上に押しながら落とす。

4.片足が重い時には一種の2の操法をする。但し、重い方を先に落とす。

 

(注)上下型は頸が操法の中心である。いつもお世話になっております。一種、二種は脳溢血にはならない。その他の体型のものが、臨時に一種、二種になった時に脳溢血を起こす。

 

三種、四種操法 消化器系統

体重60キロの人の場合、左右差が15キロある人。重心のある側は、足太く、乳大きく、顔や眼は小さい。胸は厚い。重心側の腸骨は、立つと上がり、寝ると下がるのが通例。重心側から冒される病気は、体型異常が原因である。病気中は重心が移動する場合があり注意。反対側に移っている時は経過が遅い。重心を反対側に移してやると経過が早い。左右に前後が混ざるといくら食べても旨い。左右がひどくなると食えなくなる。

操法の中心はD8、D10、L2、3、鳩尾など。

左右型の調整法

大体右に重心のあるのが多い。左右差が2、3キロある場合。

1.仰臥。重心側の足をL2に力のかかる角度に開き、逆側の足に重ね、アキレス腱を引き延ばすような具合にして落とす。息を吐いた瞬間に落とす。

2.仰臥。重心の逆側の足をL2の角度に開き、足首を内に曲げ、踵の内側がつくように、息を吐き切った瞬間に落とす。

3.伏臥。右重心を左に移す。息を吐き切った瞬間膝を落とす、あまり上げない事。

 

五、六種操法 呼吸器系統

観察  

首も肩も恥骨も前に出ている。俯くと重心が前にかかる。

D5緊張、D3,4およびL1が突出している。L1が突出すると恥骨が下がる。

操法

1.仰臥。恥骨の低い方を前に出し先に払う。尻を上げてちょっと下がった瞬間(弛む時)両足を払う。

2.仰臥。両膝を胸の位置まで曲げて下に押さえる。相手に力を入れさせる。

L5に力のかかる位置に来た時、膝に当てた手を素早く踵に持ちかえて、両足を掬い上げるように引く。身体が引きずられる位の力で引く。

3.伏臥。恥骨の低い方の足を抱え上げて、息を吐く瞬間にL3の角度に開きショックを与える。(L3の位置に親指を当てる)

4.仰臥。恥骨が下がっている方を、恥骨が揃うところまで開き、足先を内に捻って息を吐いたとき、踵の内側がつくように落とす。

 

七、八種操法 泌尿器系

観察  

第一蹠骨力が無い。故に小指側に重心がかかる。足の親指の内側(爪の生え際)に過敏がある。

七、八種は捻じれ型であって、捻れた場合はL3から捻れるのが原則で、L3から上半身と下半身を分ける。このL3から捻れるものが捻れなくなると、他の処で捻れるので、種々の異常を起こす。そこでL3を捻れるようにすると、他の異常は調整される。だから何処が捻れていても直接そこを操法せず、L3を捻らせるようにすると、どんな症状が出ていても 治ってしまう。

捻れの操法

1.右にして横臥。L3の右横突起に親指を当てて、息を吐き切った瞬間に上側の肩をポッと後ろに捻る。

2.上半身の捻れをとるには、足をL4の角度に開き、踵を内側に捻ってパタンと落とす。

落とす時の呼吸。吸い、は腸骨が縮む。

3.仰臥。足を重ねて、下側の足のアキレス腱を引いて落とす。

 

九種操法 生殖器

観察  

腸骨が縮まり、足の内側に力がかかる。胴が長く、短足闘士型。本能的動作が非常に俊敏。捻れ易い。長生き型。

1.仰臥。腸骨を開かせる法。息を吸いにかかった瞬間に、両膝を下に押してショック。

2.仰臥。術者は、相手が立てている膝を内側に押しながら、相手の力で外に開かせて、半分ぐらい開いたとき、息を吐くときに急に弛める。

 

十種操法 生殖器系統

観察  腸骨の上部が開いて、尻が平べったい(ひどい人は不妊症)。下を向くと外に力がかかる。

操法

1.伏臥。両方の恥骨が落ちている場合。馬乗りになって、両足首を内側から手を入れて引き上げ、S2に膝を当てて、息を吐く時、落とす。

2.仰臥。片方の恥骨が落ちている場合。腸骨の落ちた方を、L4の角度に足を開き、踵を進行形に落とす。

 

十一種操法 張弛する

腸骨を上げる操法をする。

操法

伏臥。腸骨の低い方の足を折り曲げ、腸骨の外側に押しながら、膝を上げて落とす。

 

十二種操法 消耗型

腸骨を落とす操法をする。

操法

術者は馬乗りにまたがり、受者の足首の内側より手をまわして両足首を開くようにして落とす。

(注)落とす時は、操法と呼吸は同じ条件で。

 

以上、体癖別の操法を早足で説明してきましたが、これらの練習をしている時に、押さえたり引っ張ったりする場所ばかりに注意が行ってしまって、相手の呼吸の間隙に、つまり相手が息を吐き切って、吸おうとする、その瞬間に、相手の力の方向を変えることが出来るという、その応用なんですが、そのことをつい忘れてしまっているようです。

呼吸の間隙にショックを加えるということだけが、問題の焦点です。この一番肝腎なことを忘れないように練習して下さい。

 

以上で、今日の講習を終わります。