野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

体癖

整体操法の基礎を学ぶⅢ(69)整体操法の対象

われわれは、体のちょっとした変化にも不安を抱いてしまう弱い存在です。あの親鸞でさえ、弟子の唯円に、自分はちょっとした体の異常に接しただけで、すぐにでも死んでしまうのではないかと不安になってしまう、というようなことを『歎異抄』の中で語ってい…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(68)一側を読む

I先生「前回は頭部調律点の復習をしましたが、今日は背骨の触り方についての復習を行ってみたいと思います。」 頭部をやる場合に、「叩く」、「押さえる」、「愉気する」の三通りの方法がありました。場所は、大部分が頭の骨と骨の縫合部というつなぎ目にあ…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(67)頭部調律点と解剖図

I先生の講座を通して、間接的にではあっても、野口氏の息遣いや、その情熱の形に触れることで、整体操法の凄さといものが、より鮮やかに私たちに伝わってくる、そんな想いを抱きながら、このブログを書き進めています。 最近では、多くの人達によるさまざま…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(65)各体癖の特徴とその矯正法

I先生。「今日は体癖とその矯正法を概観しておこうと思います。」 12種類の体型の特徴 第一種 上下型 1.頭の系統で、一応頭で考えないと身体の働きにならない。頭が身体を支配する。 2.力が前にかかる傾向。下を向くと後ろにかかる。 3.D5から上が弛まない…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(63)整体操法を行う立場について

I先生「整体操法を行うとは、どういう視点に立ってするのか。その為には、操法しようとする自分の考え方、操法する目的、操法する為に必要な立処というものを確立しておく必要があります。そういうものがしっかりしていないと、結局のところ、不安から余分な…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(62)気と観察

明けましておめでとうございます。風もなく澄んだ夜空に星々が煌めいています。2019年が、平穏な日々の繰り返しでありますよう、心からお祈りいたします。遠くの真宗のお寺からは参拝者が順々に突く除夜の鐘の音が響いてきます。 私も体を清め、といってもお…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(61)四十肩、五十肩

I先生「今日は四十肩や五十肩について、その治し方の練習を中心に説明してみたいと思います。」 副腎に何か異常を起こすと、胸椎の七番、八番の可動性が鈍くなってくる。その後、五年ぐらいして四十肩、五十肩というのをやる。そして頸椎の五番、六番、七番…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(60)上肢操法、下肢操法(その3)

I先生。「今日は、下肢の操法について掘り下げてみましょう。」 坐骨操法にしても、アキレス腱部を押さえるにしても、それは足の裏が最後の負担のかかるところだからである。 坐骨系統が硬くなってくると、足の裏が熱くなり火照ってくる。その多くは腎臓関係…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(57)感受性の閾値と潜在的疼痛

I先生。「初等では痛みを止める操法を練習しました、中等では痛みが操法として利用できることを前提に、あえて痛みを作り出すという練習をしています。今日は、そのことを通じて、痛みの問題をもう少し展開していきたいと思います。」 操法が痛くないと、ち…

『野口晴哉著作全集』 総目次 1

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 1 野口晴哉著作全集 第一巻 初期論集 一 養生篇 全生論(全生について、健康と全生、疾病…

『野口晴哉著作全集』 総目次 2

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 2 野口晴哉著作全集 第二巻 初期論集 二 療病談義 序 一 療病談義 本能の医術 自我は全一…

『野口晴哉著作全集』 総目次 3

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 全目次 3 野口晴哉著作全集 第三巻 中期論集 一 整体操法読本 巻一 総論 序 一 整体操法とは何か…

『野口晴哉著作全集』 総目次 4

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 4 野口晴哉著作全集 第四巻 中期論集 二 巻頭言集(翠ヶ丘時代) 年頭の辞 新年のあいさ…

『野口晴哉著作全集』 総目次 5

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 5 野口晴哉著作全集 第五巻上 中期論集 三 健康生活の原理 健康生活の原理について(一~…

『野口晴哉著作全集』 総目次 6

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 6 野口晴哉著作全集 第五巻下 中期論集 四 整体操法 Ⅰ 整体操法 Ⅱ 整体操法 Ⅲ 整体体操 Ⅰ…

『野口晴哉著作全集』 総目次 7

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 7 野口晴哉著作全集 第六巻 中・後期論集 一 潜在意識教育 叱言以前 人間の探求 活元運動…

『野口晴哉著作全集』 総目次 8

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 8 野口晴哉著作全集 第七巻 中・後期論集 二 体 癖 序 体癖論 人間に於ける自然というこ…

『野口晴哉著作全集』 総目次 9

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 9 野口晴哉著作全集 第八巻 後期論集 一 誕生前後の生活 序 育てつつあることの自覚 愉気…

『野口晴哉著作全集』 総目次 10 ~11

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 10 野口晴哉著作全集 第九巻 後期論集 二 病人と看病人 嫁と姑 背く子背かれる親 芸術論…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(54)痛み、苦しみの心理について

I先生。「前回は痛みの質の違いや、その利用について説明しましたが、今日は、もう少し踏み込んで、痛みや苦痛が我々にとってどのようなものかを考えていきたいと思います。」 痛みは、一般的に言えば、誰もが嫌がるものです。ところが、実際には痛みや苦痛…

整体操法の基礎を学ぶ(28)腰椎三番における体癖傾向の観察

腰椎三番における体癖傾向の観察 腰椎三番が前後に偏るというのは、緊張するほどに前の方に力が入る状態です。六種体癖の場合は、力が前に入っている時はくたびれている状態。いずれの場合も、三番は立って前に力が入ると、そこが飛び出してくる。背骨は正規…

整体操法の基礎を学ぶ(14)下肢操法

新シリーズ第二回目(通算第14回)の今回は、「下肢操法」がテーマです。目指すべき美しい頂上は遥か彼方で、裾野の草木を押し分けながら、すこしずつループ状に歩みを前に進めることしか出来ませんが、それでも野口氏の導きの糸は、はっきりと示されていま…

整体操法の基礎を学ぶ(13)体の読み方

「今回から11回にわたり、触手法、呼吸法、処などを一応マスターした準段位程度の者を対象に講義、実習を行う。今回以降の内容は、各処(ところ)の具体的な使い方や矯体操法のやり方など、細部に入っていくので、たとえ練習といっても、度が過ぎると体を壊…

整体操法の基礎を学ぶ(5)愉気による背骨の観察

第五回目です。読者の皆さんと同じ時空を共有できないのは残念ですが、このブログを通じて野口晴哉氏の息吹の一端を味わい愉しんでいただければと祈念します。 愉気による観察 手指で行う操法のすべては愉気が基本となっている。指の下にあるのは愉気という…

体癖について

野口晴哉氏の整体法のシステムがどのような意味を持つものであるかについては、それに向き合う個々人の固有の宿命によって規定されるだろう。私たちは私たち固有の宿命から少しも自由になってはいないのだし、いくら客観性の意匠や、あるべき理想の理念とし…

生き方としての野口整体

野口整体を愉しむという視点から整体を考えることは、一人の生活者として野口整体に素人として向き合うことを意味している。 野口晴哉氏の到達した思想や技術の総体をわが身に体現したいという思いは心の片隅にないとは言えないが、整体指導のプロとして生き…

風邪の効用

野口晴哉氏の「風の効用」(ちくま文庫)をまず手に取って読んでみてください。ここには野口氏が直接多くの人のからだに接し、その微細な観察とそれに基づく数えきれない操法指導の実践から抽出した、風邪をめぐる膨大な知識を、丁寧にわれわれに語り伝えよ…

精神療法家としての野口晴哉

さきに見た「整体操法の成立過程」に、整体操法制定委員会委員長としての野口氏の肩書として「精神療法」の記述があった。私はこの記述を初めて目にしたとき、従来からの手技療術を総括し、新たな規範を作成するという趣旨のこの委員会の長が、手技でもなく…

野口整体との出会い

私と野口整体との出会いは、ヨガと整体をともに追求されていた岡島氏を知り、経堂に氏をお尋ねし、講演を依頼したことがきっかけとなっている。 岡島氏の著作や機関誌から、新しい視点の沖ヨガ像が得られるのではないか、その期待からの講演依頼であった。 …

弟子(?)入り

私にとって、整体指導者から直接、個別に整体操法を教えていただけた経験は、極めて幸運なことであった。友人と二人で、一週間に一度、毎回4時間近く、I先生のご自宅で、整体操法の実習を講座形式で学ばせていただいた。 指導者一人、弟子二人のこの濃密で贅…