野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

調律点

「整体操法高等講座」を読む(3)相手の力の使い方(1)

口述記録の冊子の作成というのは、担当された方が、野口氏の講座を、一回一回テープに録音し、それを再生して、テープに耳をそばだてながら、一言一言聞き洩らさないように丹念に文字に落としていく作業です。やったことのある人ならすぐに判る事と思います…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(73)椎側の操法等の練習

I先生「それでは整体操法講座の第八回を始めます。まずこれまでやってきた整体操法の技術や手順の基礎的な問題について、おさらいの意味で説明してみます。そのあとで、各調律点の練習を時間をかけて行ないたいと思います。」 (椎側の操法) 背骨の両端にく…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(69)整体操法の対象

われわれは、体のちょっとした変化にも不安を抱いてしまう弱い存在です。あの親鸞でさえ、弟子の唯円に、自分はちょっとした体の異常に接しただけで、すぐにでも死んでしまうのではないかと不安になってしまう、というようなことを『歎異抄』の中で語ってい…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(68)一側を読む

I先生「前回は頭部調律点の復習をしましたが、今日は背骨の触り方についての復習を行ってみたいと思います。」 頭部をやる場合に、「叩く」、「押さえる」、「愉気する」の三通りの方法がありました。場所は、大部分が頭の骨と骨の縫合部というつなぎ目にあ…

整体操法の基礎を学ぶⅢ(67)頭部調律点と解剖図

I先生の講座を通して、間接的にではあっても、野口氏の息遣いや、その情熱の形に触れることで、整体操法の凄さといものが、より鮮やかに私たちに伝わってくる、そんな想いを抱きながら、このブログを書き進めています。 最近では、多くの人達によるさまざま…

整体操法の基礎を学ぶ(30)整体操法に入る前の準備

I先生。「今日は整体操法を実際に行うに際して、みなさんが予め知っておくべきことを、練習を通してやってみたいと思います。」 操法に入る前の準備 一番初めにやることは、お辞儀をし合うということです。以前、お辞儀をしながら相手の異常を観察する、と言…

整体操法の基礎を学ぶ(29)指の操法

野口整体という一つの体系が、現代においてどのような意味をもつものかは、いまの私にはうまく答えられない。このブログで、野口氏のからだについての言葉や、からだに働きかける技法の言葉を、I先生の教えを手掛かりにして素直に感動して学んでいる自分がい…

整体操法の基礎を学ぶ(24)腹痛と腹部調律点

I先生、「お腹には、第一から第四までの調律点があることはすでに見てきましたが、その他にも恥骨の角、側腹、臍の周囲、痢症活点などがあります。今日は、それらについて説明し、練習を行いますが、今日の講義をもって、操法の型は一通り終えることになりま…

整体操法の基礎を学ぶ(23)足の問題

足の問題 人間は足で立てるようになり、その為に手が自由になり、手を動かすことによって頭が発達してきた。足で立つようになったために、足の少しの故障が、体のいろいろなところの故障の元になっている。特に、足首と腰との関係は密接で、どのような腰の狂…

整体操法の基礎を学ぶ(22)礼について

礼について 整体操法では、礼というものは、お互いの生命を大事にする、尊重するために行うということになっていますが、そのほかにもいろいろな意味合いをもっています。 整体操法の欠点の一つとして、相手に手を当てると、つい親しくなって、余分に親切に…

整体操法の基礎を学ぶ(21)肩・肩甲骨・鎖骨の操法

I先生、「今回は、肩、肩甲骨、鎖骨をめぐる表情の観察と、その操法についてです。これまでと同様に、実際に調律点に触れてみて、自分の指で体を読むようにしてください。」という言葉で始まりました。また、「整体操法で用いられる<処>は、基本的に誰がやっ…

整体操法の基礎を学ぶ(12)技術上達のための重要事項② 頸椎の観察

前回の「技術上達のための重要事項①」に続く同日に行われた講座です。整体操法は、からだの表層部各所にある、「処」といわれる部分が表現している、虚実、緊張・弛緩、圧痛、過敏、鈍り、硬直などの度合いを鋭敏な手指で観察し、それを言語化、体系化したも…

整体操法の基礎を学ぶ(11)技術上達のための重要事項①深息法と愉気

I先生より、「今日は整体操法初等講座としての最終回です。次回からの整体操法基礎講座の前提として、技術上達のために重要となる諸項目を説明し、実習をします。」の前置きから 11回目は始められた。 I先生の言葉や指導の向こう側から、毎回、野口晴哉氏の…

整体操法の基礎を学ぶ(9)下肢調律点の観察

下肢調律点に触れて処を憶える 膝窩 ここは気の問題を離れても痛い処。疲れている時、消化器や生殖器に故障があるとき、泌尿器の故障、小便の出のわるい時、みなここが痛い。ただ気が入っている時と抜けている時とでは、痛みの感じが違う。 膝の上 大腿部に…

整体操法の基礎を学ぶ(8) 胸部調律点とその操法

整体操法は、昭和20年前後に、療術各分野の大家とされる十数名の委員によって、日本における各種手技療術の成果を検証し、統一化し制定された。各種の主張や表現は異なっていても、「身体外部から触知し得る体の或る場所に、体内の異常に対して触知し得る如…

整体操法の基礎を学ぶ(7)腹部整圧の方法

今回も、腹部の観察についてです。I先生の講義を通して、そこからかすかに響いて来る野口氏の生の声を聞き洩らさないように、心をこめてこの記録を進めたいと思います。というのも、野口氏が最晩年に遺された「我は去る也」と題された文章には、次のような哀…

整体操法の基礎を学ぶ(6)腹部調律点の観察

野口整体を愉しむ、その愉しみの一つが操法の実習です。今日はその六回目の記録です。よき指導者に恵まれ、基礎の基礎から手ほどきを受けることの喜び。それは野口晴哉氏の声を、I先生を媒介にして、直接身に浴びるような体験にわたしには思われる。 整体操…

整体操法の基礎を学ぶ(4)椎骨の転位とその意味

I先生宅での学びの四回目。いつものように、まず、いただいた資料を友人と私で声を出して順に読み、続いて先生からの説明、講義と、それに続く実技指導とその練習。 病気は治すべきものか 病気を治すという行為は、人間の体にどのような影響をもたらすか。病…

整体操法の基礎を学ぶ(3)背骨の可動性を観察する

急所の偏り疲労 体に疲労が偏っていても、急所でなければ一晩寝れば治ってしまう。しかし肩の急所に偏り疲労が生じると肝臓や胃にも影響を与える。 足首がちょっと狂っても胃袋は悪くなる。腓骨と脛骨の間が拡がって右足が太くなると、食欲がなくなったり、…

整体操法の基礎を学ぶ(2)上肢調律点の観察と呼吸のリードの仕方

上肢調律点に触れる練習 先回述べた偏り疲労が、からだの急所に生じると、打撲したときのように、いろいろなところにその影響が生じる。 急所の打撲というのは、たとえば足の甲の第四指と第五指の間を強く打つとひっくり返ってしまう。上肢第四を強打すると…

整体操法の基礎を学ぶ(1)潜在体力と処の観察

私が友人とともに、I先生宅で教えていただいた、二年余りにわたる整体操法についての実習の記録です。I先生宅の広い和室で、先生一人、生徒二人で行っていただいた一週間に一度の三・四時間の実習についての貴重で濃密な記録です。標題のように講義・実習の…