野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

野口整体

片山洋次郎氏の整体の本(1)

片山洋次郎氏の整体についての著作群は、私のお気に入りである。いつも片山氏の本をバッグに詰め込んで、喫茶店や地下鉄車中でぱらぱらと眺めたり、就寝前に寝転がったまま一言ひとことを味わうのがこの上なく愉しい。 それは、片山氏の語る<整体>が、野口…

野口整体の基礎を学ぶⅡ(64)「勢い」ということ

I先生、「これまでの講座で皆さんに覚えてほしかったのは、体のなかにある力、これを一応「勢い」と呼んでおきますが、この「勢い」の使い方とその処理ということが、中等講習での重要な課題としてずっと流れていたものなんです。そこで今日は、まず「勢い」…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(62)気と観察

明けましておめでとうございます。風もなく澄んだ夜空に星々が煌めいています。2019年が、平穏な日々の繰り返しでありますよう、心からお祈りいたします。遠くの真宗のお寺からは参拝者が順々に突く除夜の鐘の音が響いてきます。 私も体を清め、といってもお…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(61)四十肩、五十肩

I先生「今日は四十肩や五十肩について、その治し方の練習を中心に説明してみたいと思います。」 副腎に何か異常を起こすと、胸椎の七番、八番の可動性が鈍くなってくる。その後、五年ぐらいして四十肩、五十肩というのをやる。そして頸椎の五番、六番、七番…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(60)上肢操法、下肢操法(その3)

I先生。「今日は、下肢の操法について掘り下げてみましょう。」 坐骨操法にしても、アキレス腱部を押さえるにしても、それは足の裏が最後の負担のかかるところだからである。 坐骨系統が硬くなってくると、足の裏が熱くなり火照ってくる。その多くは腎臓関係…

「気」とは何か

野口整体における「気」とは何か。この問いは、いつも私のなかにあり、しかも問いのままで形を結ぶことがない。野口氏の思想や技術を理解するうえで、これほど重要な言葉であり概念であるにもかかわらずである。 この「気」に対する私の漠然とした感じが、意…

『野口晴哉著作全集』 総目次 1

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 1 野口晴哉著作全集 第一巻 初期論集 一 養生篇 全生論(全生について、健康と全生、疾病…

『野口晴哉著作全集』 総目次 2

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 2 野口晴哉著作全集 第二巻 初期論集 二 療病談義 序 一 療病談義 本能の医術 自我は全一…

『野口晴哉著作全集』 総目次 3

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 全目次 3 野口晴哉著作全集 第三巻 中期論集 一 整体操法読本 巻一 総論 序 一 整体操法とは何か…

『野口晴哉著作全集』 総目次 4

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 4 野口晴哉著作全集 第四巻 中期論集 二 巻頭言集(翠ヶ丘時代) 年頭の辞 新年のあいさ…

『野口晴哉著作全集』 総目次 5

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 5 野口晴哉著作全集 第五巻上 中期論集 三 健康生活の原理 健康生活の原理について(一~…

『野口晴哉著作全集』 総目次 6

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 6 野口晴哉著作全集 第五巻下 中期論集 四 整体操法 Ⅰ 整体操法 Ⅱ 整体操法 Ⅲ 整体体操 Ⅰ…

『野口晴哉著作全集』 総目次 7

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 7 野口晴哉著作全集 第六巻 中・後期論集 一 潜在意識教育 叱言以前 人間の探求 活元運動…

『野口晴哉著作全集』 総目次 8

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 8 野口晴哉著作全集 第七巻 中・後期論集 二 体 癖 序 体癖論 人間に於ける自然というこ…

『野口晴哉著作全集』 総目次 9

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 9 野口晴哉著作全集 第八巻 後期論集 一 誕生前後の生活 序 育てつつあることの自覚 愉気…

『野口晴哉著作全集』 総目次 10 ~11

野口晴哉著作全集 総目次(全十巻、十一冊 株式会社 全生社刊) (註:細目内容は、少しずつ書き加えて、このブログ上に更新していきます。) 野口晴哉著作全集 総目次 10 野口晴哉著作全集 第九巻 後期論集 二 病人と看病人 嫁と姑 背く子背かれる親 芸術論…

野口整体関連文献のこと 1 井本整体

野口晴哉氏や野口整体について書かれた書物や文献はきわめて多い。私も下手の横好きじゃないけれど、野口整体に関連する書籍や、雑誌、あるいはネット情報を手にしたり、読んだりすることをこよなく愛する素人の愛好家であることを自認している。 昔、植草甚…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(44)中等講座における救急操法

I先生「今日は、前にやった救急操法の中等編です。」 発熱の見分け方 熱が、朝高くて夕方が低いというのは、体のどこかが化膿している状態。朝が低くて夕方高いのはありきたりの熱だが、過労の時や結核の時もそうなる。 隔日で高い低いがあるのは、臓器の化…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(43)肋骨挙上法

からだの発する声に耳を澄ますとか、その微かな声を解読していくという作業が、いかに難しい事か。この講習記録を進めるほどに、その思いは深まっていく。しかし、われわれのからだ、生きて働いている私たちの身体というものの複雑さや精妙さを考えれば、そ…

身体教育研究所について

身体教育研究所のことを初めて知ったのは、月刊全生の記事を読んだ時で、すでに三十年近く前の事である。すでに記したように、私が初めて整体協会主催の講習会に参加したとき、その講師が野口裕之氏であったし、その後の講習会や研究会の指導者も裕之氏であ…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(42)技術に於ける度の問題(二)

I先生「前回に引き続き、度の問題を行ないます。特に頸とお腹の関連を実際に自分の指で確かめて、その時の操法の度の適を得るということを、練習を通して身につけて行って下さい。では始めます。」 刺戟感受性 人間には刺戟感受性というのがあります。外側…

「月刊全生」目次散歩(3)

1965 5月号 通巻第15号 ・巻頭言 リハビリテーションの施設の在り方 ・子供と躾けの問題 人間の裡にある自律性(躾けは必要か、自然の規律、水はせきとめられるから溢れる、人間は自然の規律によって守られている、躾けが要るのは子供ではない、人間の本性は…

「月刊全生」目次散歩(2)

「月刊全生」目次 1964 9月号 通巻第6号 ・ヴァイオリン奏法と体癖(野口晴哉) ・松本ドライヴ記 ・紫煙録 ・ある対話 ・大切なものを忘れていた(小川菖蒲) ・一種と九種の無為運動(写真6) ・理由なき反抗 ・七月の体癖修正法講座(臼井) ・全生訓(背…

「月刊全生」目次散歩(1)

「月刊全生」の目次を作成しようと思います。私の手持ちの「月刊全生」のみとなりますので、欠号もかなりあります。 月刊全生 1964 3月号(第1号、「全生新聞」からの通巻第127号) *「月刊全生」は、「全生新聞」が改題されたもの。 <開館記念号> ・新道…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(41)技術に於ける度の問題

以下は、I先生から戴いた資料の転載です。I先生は、我々受講者のために、その都度こうした資料を作成して講義に臨まれました。従って、野口氏の口述記録をもとに資料を作成したとはいえ、I先生ご自身の受講体験や、操法の個人指導を通じて得た経験も踏まえ、…

整体操法の基礎を学ぶ(25)整体操法の型について

I先生「この二か月間の講座のお休みはいかがでしたか。これまで行ってきたのは整体操法の型の基礎的なこととか、操法に於ける処といったものでしたが、次に問題になるのは、それらを具体的にどのように使っていくかということです。では、さっそく始めましょ…

整体操法の基礎を学ぶ(24)腹痛と腹部調律点

I先生、「お腹には、第一から第四までの調律点があることはすでに見てきましたが、その他にも恥骨の角、側腹、臍の周囲、痢症活点などがあります。今日は、それらについて説明し、練習を行いますが、今日の講義をもって、操法の型は一通り終えることになりま…

整体操法の基礎を学ぶ(23)足の問題

足の問題 人間は足で立てるようになり、その為に手が自由になり、手を動かすことによって頭が発達してきた。足で立つようになったために、足の少しの故障が、体のいろいろなところの故障の元になっている。特に、足首と腰との関係は密接で、どのような腰の狂…

整体操法の基礎を学ぶ(22)礼について

礼について 整体操法では、礼というものは、お互いの生命を大事にする、尊重するために行うということになっていますが、そのほかにもいろいろな意味合いをもっています。 整体操法の欠点の一つとして、相手に手を当てると、つい親しくなって、余分に親切に…

整体操法の基礎を学ぶ(21)肩・肩甲骨・鎖骨の操法

I先生、「今回は、肩、肩甲骨、鎖骨をめぐる表情の観察と、その操法についてです。これまでと同様に、実際に調律点に触れてみて、自分の指で体を読むようにしてください。」という言葉で始まりました。また、「整体操法で用いられる<処>は、基本的に誰がやっ…