野口整体を愉しむ

未来を先どりする野口晴哉の思想と技法

整体操法

整体操法の基礎を学ぶⅡ(42)技術に於ける度の問題(二)

I先生「前回に引き続き、度の問題を行ないます。特に頸とお腹の関連を実際に自分の指で確かめて、その時の操法の度の適を得るということを、練習を通して身につけて行って下さい。では始めます。」 刺戟感受性 人間には刺戟感受性というのがあります。外側…

「月刊全生」目次散歩(2)

「月刊全生」目次 1964 9月号 通巻第6号 ・ヴァイオリン奏法と体癖(野口晴哉) ・松本ドライヴ記 ・紫煙録 ・ある対話 ・大切なものを忘れていた(小川菖蒲) ・一種と九種の無為運動(写真6) ・理由なき反抗 ・七月の体癖修正法講座(臼井) ・全生訓(背…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(41)技術に於ける度の問題

以下は、I先生から戴いた資料の転載です。I先生は、我々受講者のために、その都度こうした資料を作成して講義に臨まれました。従って、野口氏の口述記録をもとに資料を作成したとはいえ、I先生ご自身の受講体験や、操法の個人指導を通じて得た経験も踏まえ、…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(40)頸椎ヘルニアの操法

整体操法の思想や技術を少しずつ順を追って学んでいく。そうすることで初めて見えてくる世界というものがある。朧気ながら感じられてくるにすぎないが、なぜ私が野口整体にこれほど惹きつけられるかという理由もきっとその感じの中にあるはずだ。そして野口…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(39)頸部操法における肘と手の使い方

今日の講義は、新シリーズに入って第二回目の記録です。講義はかなり以前のことでもあり、いまでもはっきりと思い出すことができるものと、まるで忘れてしまっていて改めて新鮮に感じるものとが混じり合っています。ただ、昔の私も今の私も、唯一変わらない…

整体操法の基礎を学ぶⅡ(38)生きているということ

前回の講習から二か月、I先生のご好意で、新しいシリーズを学ばせて戴けることになりました。このブログでは便宜上タイトル(「整体操法の基礎を学ぶ」)を変更しないままで、標題に「Ⅱ」を付け加えさせていただき、さらに通番を括弧書きしておきました。 I…

整体操法の基礎を学ぶ(37)鈍った椎骨の矯正

ポール・マッカートニーのナゴヤドームライブの余韻に浸ってパソコンに向かっている。今回(11.8)は妻と二人での参戦となったが、数年前の東京ドームでのポールのライブが娘と息子の家族四人でのビートルズ体験だったこともあり、少し趣が異なっていた。娘…

整体操法の基礎を学ぶ(36)下肢を用いた椎骨の矯正

I先生「前回は脊椎の矯正方法の一つとして足の操法をやりました。今日は、足を使った背骨の矯正についてやってみます。」 足のいろいろな角度で、足を利用して椎骨を矯正していく。そのためには、足が正常な状態でないとうまくいかない。たとえば、股関節が…

整体操法の基礎を学ぶ(35)股関節の異常と足の操法

野口氏は、治療を捨てて体そだて(体育)に邁進すると宣言した。つまり手技療術による治療法としての整体操法を、治療法としては今後は使わない、と方向転換した。ところで、そのことの趣旨を、うまくとらえきれなかった指導者もいたのではなかったか。 治療…

整体操法の基礎を学ぶ(34)椎骨の可動性

椎骨の観察で特に重要なことは、その可動性を確かめることにある。可動性に異常のある椎骨が悪い骨で、その椎側にも異常がある。 背骨は揺すぶると動きます。押さえると、その反動で盛り上がってきます。この押して戻ってくる力の度合いを見ることが可動性の…

整体操法の基礎を学ぶ(33)背骨の観察

この「はてなブログ」の記録を進めながら、ふと気づくと、少しずつ読者の方の眼差しが増えてきていることがわかります。そしてそのことで、とても勇気づけられている自分がいることを感じ、また喜びを感じます。有難いことです。わずかながらでもお役に立て…

整体操法の基礎を学ぶ(32)三側の操法

I先生「家に帰って練習できましたか。今日は三側の操法の練習を中心にやってみます。」 一側は頭の調整で変化する。なかでも頭部第二調律点と第三調律点を結んだ線上が、特に一側の調整と関連している。第四は腰椎部分と関連している。第五は胸椎部分の硬直…

整体操法の基礎を学ぶ(31)操法の実施様式

I先生、「今日は整体操法を実際に行う場合の順序について説明します。」 礼 最初は礼です。礼は先回述べたように、ただ型ではなく、生命に対する礼、それがその意味するところです。同時に、礼を通して相手の動作特徴をつかみだす、きちんと観察するというこ…

整体操法の基礎を学ぶ(30)整体操法に入る前の準備

I先生。「今日は整体操法を実際に行うに際して、みなさんが予め知っておくべきことを、練習を通してやってみたいと思います。」 操法に入る前の準備 一番初めにやることは、お辞儀をし合うということです。以前、お辞儀をしながら相手の異常を観察する、と言…

整体操法の基礎を学ぶ(29)指の操法

野口整体という一つの体系が、現代においてどのような意味をもつものかは、いまの私にはうまく答えられない。このブログで、野口氏のからだについての言葉や、からだに働きかける技法の言葉を、I先生の教えを手掛かりにして素直に感動して学んでいる自分がい…

整体操法の基礎を学ぶ(28)腰椎三番における体癖傾向の観察

腰椎三番における体癖傾向の観察 腰椎三番が前後に偏るというのは、緊張するほどに前の方に力が入る状態です。六種体癖の場合は、力が前に入っている時はくたびれている状態。いずれの場合も、三番は立って前に力が入ると、そこが飛び出してくる。背骨は正規…

整体操法の基礎を学ぶ(27)腰椎三番の左右偏りの調整

私たちのからだについて、これほどまでに豊かな彩りで語りかけてくれる野口晴哉氏に、いつもながら畏敬の念を抱いてしまう。学校などではついぞ耳にしたことのない言葉の群れ。マスメディアからは甲高い声で、日々流れてくる「早期発見、早期治療」の大合唱…

整体操法の基礎を学ぶ(26)型とその運用

前回の講座から自修期間が設けられ、ちょうど二か月後の開講となった。I先生から、この自修期間中に整体法を学ぶ覚悟を決めるよう促されてのことであったと思う。このことは、I先生からみた私たちに、ある基本的な部分の欠落が感じられていたということでも…

整体操法の基礎を学ぶ(25)整体操法の型について

I先生「この二か月間の講座のお休みはいかがでしたか。これまで行ってきたのは整体操法の型の基礎的なこととか、操法に於ける処といったものでしたが、次に問題になるのは、それらを具体的にどのように使っていくかということです。では、さっそく始めましょ…

整体操法の基礎を学ぶ(24)腹痛と腹部調律点

I先生、「お腹には、第一から第四までの調律点があることはすでに見てきましたが、その他にも恥骨の角、側腹、臍の周囲、痢症活点などがあります。今日は、それらについて説明し、練習を行いますが、今日の講義をもって、操法の型は一通り終えることになりま…

整体操法の基礎を学ぶ(23)足の問題

足の問題 人間は足で立てるようになり、その為に手が自由になり、手を動かすことによって頭が発達してきた。足で立つようになったために、足の少しの故障が、体のいろいろなところの故障の元になっている。特に、足首と腰との関係は密接で、どのような腰の狂…

整体操法の基礎を学ぶ(22)礼について

礼について 整体操法では、礼というものは、お互いの生命を大事にする、尊重するために行うということになっていますが、そのほかにもいろいろな意味合いをもっています。 整体操法の欠点の一つとして、相手に手を当てると、つい親しくなって、余分に親切に…

整体操法の基礎を学ぶ(21)肩・肩甲骨・鎖骨の操法

I先生、「今回は、肩、肩甲骨、鎖骨をめぐる表情の観察と、その操法についてです。これまでと同様に、実際に調律点に触れてみて、自分の指で体を読むようにしてください。」という言葉で始まりました。また、「整体操法で用いられる<処>は、基本的に誰がやっ…

整体操法の基礎を学ぶ(20)救急操法

I先生、「前回までは整体操法の理論を、実習を交えて説明してきましたが、今日は一休みして、救急操法を通して、具体的に生活の役に立つ技術をお話しします。」と前置きして、第二十回目の講習が始められた。 救急操法 脳活起神法(気絶に対する操法) 相手…

整体操法の基礎を学ぶ(19)病気を経過させる

第19回目のこの日の講義は、野口整体法の重要なキーワードの一つである「病気は経過させるもの」についてです。野口氏の言葉のすべてに通奏低音として鳴り響いているのが、生命や生きていることそのものへの敬意であり、生命に対しての礼をもっての受動的身…

整体操法の基礎を学ぶ(18)一側操法

今回で三回目の「一側」をめぐる講義です。一側について、これほど豊かな表現を与えている野口氏に、驚きと畏怖の念を抱かずにはおられません。素人の私たちにも何とか一側のもつ多彩な表情をとどかせようと、くりかえし繰り返し、重層的に語りかけています…

整体操法の基礎を学ぶ(17) 一側の影響圏

一側の影響圏 一側は、呼吸器の問題、生殖器の問題、神経系統の大脳緊張の問題と関係がある。一側は正常の場合、七、八本の線をバラバラと感じるが、体が悪いと一本になる。あるいは全然触らなくなる。 外側の筋肉にある線は、二本ないし三本で、これはあま…

整体操法の基礎を学ぶ(16)一側の観察

I先生からの講義の16回目。いよいよ「一側」についてである。I先生の教えは、野口晴哉先生やその高弟指導者から直接学ばれた経験と、野口先生の著作や口述記録等を手掛かりにI先生ご自身が整体指導者として積み重ねてこられた経験とが織り込まれた、得難い宝…

整体操法の基礎を学ぶ(15)脊椎操法

脊椎操法 脊椎の異常というのは、それを正すことより、それがひとりでに整っていくように仕向けることに意味がある。脊椎そのものを調整するということは、整体操法ではあまりしない。ただ、曲がっている状態に応じた刺戟を加えると、自動的に整っていく。 …

整体操法の基礎を学ぶ(14)下肢操法

新シリーズ第二回目(通算第14回)の今回は、「下肢操法」がテーマです。目指すべき美しい頂上は遥か彼方で、裾野の草木を押し分けながら、すこしずつループ状に歩みを前に進めることしか出来ませんが、それでも野口氏の導きの糸は、はっきりと示されていま…